持ち前の遊び心を生かしながら
じっくり・ゆっくり育てていける家
「等身大」を大切にした平屋の住まい
けれどそこには「余白」がいっぱい
南足柄の高台──里山といった風情すらある土地に新居を建てたH様ご夫妻。家の西側には山が迫り、庭には野鳥も飛んでくる自然豊かな環境は、「肩ひじを張らずに過ごしたい」というナチュラル志向のご夫妻に、ぴったりの暮らしをかなえてくれました。
「南面からたっぷり陽射しが入る平屋を建てたかったんです。ほら、コロナで在宅勤務が増えたじゃないですか。まだ住み始めて1か月強ですけど、ダイニングからゆったり庭を眺める日々を送るうちに、鳥に詳しくなってきました」と、お二人は笑顔でうなずき合います。
無垢の床材や、勾配天井の全面に貼りめぐらされた木目のクロス、ロフトを囲う無垢の柵など、ナチュラルテイストが随所で温かいアクセントになった内装は、お二人の暮らしぶりと素敵に調和しています。
平屋にこだわったのは、知り合いたちが口々に、「子どもが独立しちゃったら2階はほとんど使わない」と語っていたから。「夫婦二人でこぢんまりと、等身大の暮らしを」と考えるご夫妻らしいチョイスです。
でも、削ぎ落とすばかりではありません。遊び心に満ちているお二人は、住んでからもいろいろと手を加えていけるような「余白のある家」をご希望でした。ダイニング脇にしつらえたベンチも、その一つ。「ふらっと座れるスペースがほしかったんです」と奥様。初めニッチ収納で予定していた場所は、ちょっと奥まった、絶好のまったりスペースに様変わりしました。
家のそこかしこで目をひく照明も、やはり遊び心から。「焦らずじっくり好みの照明を選べばいいや」と割り切って、施工時はダクトレールだけを取り付けて終わり。趣味に合う照明器具を後からゆっくり選びました。しょっちゅう角度や間隔を変えては、光の当たり具合の変化を楽しんでいるそうです。
お二人は、「こんな希望がすべてかなったのも江原さんのおかげです」。セールスポイントを押しつけるばかりで、ちっとも施主である自分たちの話を聞こうとしない住宅会社ばかりの中、マイペースで希望を語れた江原工務店の存在は貴重だったそう。
「メリットもデメリットも率直に教えてくれて、なんなら『いや、そこは無理しないほうが……』と引き止めてくれた江原さんには、信頼感しかありませんでした(笑)」とお二人。
引き算と足し算が絶妙に調和したH様の新居。この先どんなふうに家が育っていくのか、楽しみです。
家族用と来客用で動線を分けた2wayの玄関ホール。玄関先から始まる無垢の床材が、来た人を心地よく迎えてくれる。
家族用動線には造り付けのオープン収納。帽子やバッグ、ストールなどの小物は壁に取り付けた有孔ボードが大活躍(等間隔であいた穴にフックを付けるだけ!)。外出時の一式が玄関先でそろう。
ロフトから見たLDK。朝ヨガを習慣にするお二人は、ソファ前にローテーブルは置かない。H様が建てた「econa家」という仕様では基礎断熱工法が採られていて、無垢の床材の温もりとあいまって底冷えはまったくない。「高断熱・高気密のグレードが高いとすごいんですね。エアコン1台で冬の暖房が足りるというのは、本当に驚きでした」とご主人。
リビングの窓際には、アパート時代から持ち越したミニセットを。「初めはここにベンチを作るつもりだったんです。狭くなりそうでやめたんですが。結果的に今のほうがちょいカフェ風になって、気に入ってます」(奥様)
ダイニング脇の壁をくり抜いて造作したベンチは、お二人が大好きな空間。家全体をくるむアイボリーの壁は、漆喰塗りのように見える上品なクロス。差し色になっているブルーグレーのドアともども見学会で見つけ、「質感がすごく気に入ったので決めました」。
在宅ワークが増えたので、書斎はしっかり仕事ができる環境を。ドアを閉めても、上にあいた小窓からリビングの空気と気配が行き来する。
ダイニングからキッチンを見たところ。白と木目で統一された空間に、ダイニングチェアのきれいな色がアクセントになっている。
少し高めにしつらえたカウンターは、パソコンを置けば「座りっぱなし防止」の仕事場に早変わり。キッチンの照明はシンク上、壁側、ともにダクトレールで動かせる。
キッチンは吊り戸棚をつけずにすっきりと。水はね防止と手元隠しを兼ねて、カウンターは少し高めにした。
洗面台は、収納が床まではないすっきりタイプをチョイス。「後から家具の色が雑多に加わってくるので、壁の色は引き算のほうがいいですよ」という江原工務店からのアドバイスを受けて、家全体はアイボリーで統一したが、洗面まわりだけ遊び心を発揮。センスのいいストライプが映えている。
トイレも、丸窓とブルーグレーのクロスで遊びを。カンテラ風の照明がレトロでおしゃれ。
壁は白のクロスで床はナチュラルテイストの落ち着いた寝室。「細かく片づけるのはあまり得意じゃなくて……」と、寝室に設けた造り付けのウォークインクローゼットは大きく4パートに分割。掛けてしまうもの(長・短)はポールハンガーに、たたんでしまうものと小物は棚に。寝室との境は、さっと出入りできるよう扉を付けなかった。
階段を上がった先のロフトは、ご家庭によっては小屋根収納にできる空間だが、ご主人の書斎に。屋根の勾配をそのまま生かして、風情を出した。
焼杉板にも似た風合いがある、シックなサイディングを外壁に。窓の室外側の白いモールと木目調の玄関ドアが印象的。
ほんのりデコラティブな雰囲気をもつ壁紙クロスと、間接照明に包まれて。「コーヒーと本を片手に」ここにすっぽり入り込んだ時間がとても幸せです」。